高専への進学という選択肢

高専での生活

私は中学卒業後、地元の高専の電気電子工学科に進学しました。ここでは、進路選択を控えた中学生やその保護者を対象に、高専への進学という選択肢について私の実体験を交えて解説します。

高専とは

高専は大学と同じ高等教育機関

高専を端的に言うと「技術者を養成する5年生」の学校です。極端に言えば「工業高校(3年)+工科短大(2年)」といえばわかりやすいかと思います。

高専は高校と異なり、大学と同じ括りである高等教育機関になります。そのため、高専では生徒ではなく学生と呼ばれます。また、高専を卒業すると準学士という学位が授与されます。

高専で勉強できること

高専によって学科は異なりますが概ねこのように分かれていることが多いです。各学科がどのような雰囲気なのかは夏ごろに開催されるオープンキャンパスでチェックするとよいと思います。

  • 機械系学科
  • 電気電子系学科
  • 制御情報系学科
  • 建築土木系学科

また、高専の先生は高校教師とは異なり、教授や准教授といった各専門分野の専門家から構成されています。そのため、高校段階から大学工学部並みのレベルの教育を受けることができます。

また、工学実験で様々な器具を使って実験してレポートを作成したり、グループでのロボット製作など実践型の授業が多いのも特徴です。

高専への進学難易度

高専への進学難易度は上位進学校並みに高く、私が中学生の時も8人受験して合格したのは私含め2人だけでした。そのため、中学では成績上位層をキープして、高専に合わせた受験対策を十分に行う必要があります。

高専での生活

5年間クラス替えなし

普通の高校では1年ごとにクラス替えがありますが、高専は学科毎にクラス分け(約40人)されているので5年間ずっと同じクラスになります。

よく言えば同じクラスで絆を深められる、悪く言えば人間関係が固定化されて刺激が少ないです。

男子学生が圧倒的に多い

技術者を養成する学校ということもあってか男子学生が圧倒的に多いです。私の経験上、学科毎に傾向分けすると以下の通りです。機械系と電気系はほぼ男子校と呼んでよい状況です。

  • 機械系学科⇒1クラス40人中、女子学生は1,2人程度
  • 電気電子系学科⇒1クラス40人中、女子学生は1,2人程度
  • 制御情報系学科⇒1クラス40人中、女子学生は5,6人程度
  • 制御情報系学科⇒1クラス40人中、女子学生は5,6人程度

よく言えば勉強や研究に集中しやすい、悪く言えば青春を経験できずに精神的に未熟な学生になりやすいです。

定期テストがハードかつ留年しやすい

高専では1年に4回の定期試験があります。

  • 前期中間試験(6月頃)
  • 前期期末試験(9月頃)
  • 後期中間試験(12月頃)
  • 後期期末試験(2月頃)

定期試験では1週間ちょっとのテスト期間で1日2,3科目のペースで10数科目のテストを受けます。

赤点は60点未満であり、4回(半期だけの科目は2科目)のテストの平均が60点未満となるとその科目の単位を落としてしまいます。そして、進級に必要な単位が足りないと留年してしまいます。特に留年しやすいのは3年生から4年生に進級するときで5,6人が留年する学年もありました。

テストの難易度は全体的に高く中途半端な勉強では簡単に赤点を取ってしまうので、テスト期間が始まる2週間前から高専生は夜遅くまで必死で勉強します。

私は最終的に大学に編入しましたが、大学の定期テストよりも遥かにきつかったです。

自由な校風

高専には特に校則というものがありません。例えば、こんな感じです。

  • 髪の毛を染めてもいい
  • 2年生からは原付バイクでの通学可
  • アルバイトも自由

なので、イケてる人であれば青春を謳歌することができます。イケていない人も原付バイクでアルバイトに行くなど行動範囲を広げて成長できるチャンスは十分にあるので積極的に学外と関りをもつようにして欲しいです。

高専卒業後の進路

高専卒業後は、企業などに就職するか大学(専攻科)に進学するかのどちらかになると思います。

結論としては、メーカーへの就職率が高く、大学工学部への進学も容易です。

高専からの進路選択や就職については下記の記事にまとめています。

高専生の進路、就職と進学どちらがよいか
高専生のための後悔しない就職活動戦略

高専への進学の注意点

科学技術に興味がないとつらい

上述した通り高専は技術者を養成するための学校であり、カリキュラムも理工系科目が大多数を占めます。単に「入学難易度が高いから」といった理由でなんとなく入ると、勉強や学生生活が面白くなく悩むことになります。私の高専時代においても、高専が合わないという理由で1~3年生の間で3人は退学してしまいました。

入学すると理工系以外への進路変更が困難になる

高専では5年単位で理工系科目を中心に勉強するため、大学受験に対応した勉強は一切しません。そのため、高専が合わなくで途中で進路変更しようとしてもそのハードルはかなり高いです。高専を3年で退学して大学に進学することは可能ですが、進学校から大学進学を目指すよりずっと難易度は上がります。

まとめ

高専は「よくも悪くも個性が強い学校」であるため、合う人にはとても良い環境ですが合わない人にはつらい環境です。中学3年時点で、

「科学技術にずっと興味があって理工学を勉強したいし、今後もその気持ちは変わらない」

と自信をもって言える人でなければ高専を勧めることはできません。まだ、様々な進路を考えたいなど少しでも迷いがあるのであれば進学校に進学するのをお勧めします。

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