お金をかけない弁理士試験の勉強術(論文編)

弁理士試験の勉強

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弁理士試験の最初の関門である短答試験を突破して喜ぶのも束の間、さらなる関門である論文式試験が待ち構えています。ここでは、お金をかけずに何を書いたらよいのかさっぱりな状態から合格レベルの答案を書けるまでに私がしたことを紹介します。

論文式試験の難しさ

論文式試験は、特許・実用新案、意匠、商標の3科目に分かれています。それぞれの科目の試験は下記の通りです。また、試験中に貸与法文を自由に見ることができます。

  • 午前
    • 特許・実用新案は問題1と問題2に分かれていて、それぞれ、A3用紙2枚の答案用紙が与えられて解答時間は2時間です。問題1と問題2は複数の小問題から構成されています。
  • 昼休憩
  • 午後
    • 意匠、は問題1のみで、A3用紙2枚の答案用紙が与えられて解答時間は1時間30分です。問題1は複数の小問題から構成されています。
    • 商標、は問題1のみで、A3用紙2枚の答案用紙が与えられて解答時間は1時間30分です。問題1は複数の小問題から構成されています。

このことからわかるように、特許・実用新案は問題1と問題2があるにも関わらず解答時間が2時間しかありません。商標、意匠は1問題あたり1時間30分使えますが特許・実用新案は1問題あたり1時間しか使えないので時間管理が非常にシビアです。さらに、特許・実用新案の問題1は合否を決める選択を迫られるような問題がよく出されるので、試験開始の緊張や時間の少なさからくるパニック状態を乗り越えて正確な結論を出すことが求められます。特許・実用新案が不出来で心が折れると午後の意匠、商標にも響いてきます。そのため、特許・実用新案が特に重要かつ難しいです。

論文の作法を確認

論文式試験の勉強を始めるにあたっては、先ず基本的な論文の書き方を資格予備校のテキストや参考書で確認します。細かなところはテキストで解説されているので省略しますが、下記の法的三段論法は極めて重要かつ常に意識して書くようにしたいです。

  • 規範定立
  • 当てはめ
  • 結論

市販のテキストなら私も使った下記がおすすめです。このテキストは暗記事項集としても活用しましょう。

他に重要だと思う作法としては、「聞かれていることに端的に答える(余計なことは書かない)」ことだと思います。余計なことを書いても意味がないか、減点されるか、その記載に時間をとられて他の記載が疎かになるだけで百害あって一利なしです。分量としては1問題あたりA3用紙1.5枚分書けば十分です。

先ずは過去問の模範答案を写経

いきなり過去問を解こうとしても白紙の答案用紙を前に途方に暮れるかと思います。なので先ずはハードルを下げて模範答案を写経します。過去10年分程写経すれば論文式試験の解答イメージや出題傾向が掴めると思います。写経ばかりしていても自分で書けるようにはならないので程々にして次のステップに進みます。

過去問を小分けにして自分で書いてみる

いきなり、全文書き(本番同様にA3用紙2枚分書く)はハードルが高いので過去問の大問題を小問題に小分けにして時間を計りながら書いてみます。小問題を1問書いたらすぐに模範答案を読んで自分の答案との違いを確認して次に活かします。実際に手を動かすスポーツのようなものなのでやればやるだけ解答(手書き)スピードも速くなります。

ここで、使う法文集は四法対照ではなく、試験時に貸与される法文集に近い構成のものを使いましょう。合格者の知り合いやフリマサイト、オークションサイトで本物の法文集を入手するのがベストです。

このステップでは、過去問の内容は時間内に当たり前に書けるという状態まで持っていきます。ボールペンを何本も空にして答案用紙が山のように積みあがるつらい道のりですが頑張るしかありません。

また、たまには全文書きをして本番に近い状況にも慣れておきましょう。

おさがり答練を使って様々な問題に触れる

過去問をマスターするだけでは、合格できないのが弁理士試験の難しさです。過去問を一通り解けるようになったら資格予備校の答練を受講したいところですが、マークシートの短答答練と異なり人力で採点、添削するので、資格予備校の答練は10万円を軽く超えるかなり高価なものです。私はお金がなかったので資格予備校答練採点、添削)は受けていません。

そこで、私はフリマサイトで資格予備校の答練の中古品を入手しました。

当然、採点や添削を受けることはできませんが、安いので様々な問題を多く入手することができます。過去問を解くときと同様に、自分で解いて模範解答を確認するということを繰り返します。こうして量をこなすことで様々な問題に触れて、大抵の問題はカバーできる力を鍛えていきます。

その他必須テキスト

LEC口述アドヴァンスドテキスト

口述試験用のテキストですが、口述試験で問われることは論文式試験で問われる可能性が高いです。小問題で「~趣旨を説明せよ」といった一行問題に対応できる力が鍛えられます。LECのサイトで購入できるので購入しておきましょう。これを早めにやっておけば、口述試験対策もかなり楽になります。

知的財産法判例教室

論文式試験では判例の知識が問われることがあります。判例についてはこのテキストの内容を覚えただけですが十分かと思います。他の受験生が書ける(落としても致命傷にはならない)ことを覚えるよりも他の受験生が当たり前に書いてくることをしっかり覚えましょう。

無料でできる情報収集テクニック

資格予備校の短答解答速報会

短答試験当日の夜に資格予備校による解答速報会があると思いますが、そこで、講師が短答試験の傾向から論文でどこが出そうか出題予想を話してくれると思うので聞き漏らさないようにしましょう。講師は自分のクラスにも同じことを話しているはずなので、大多数の受験生は対策をしてきます。他の人が当たり前に解けることを落とすのは致命傷なのでしっかり対策をしましょう。

X(旧Twitter)

Xには多くの弁理士試験受験生がいてどんな勉強をしているのか情報発信しています。情報発信している受験生は優秀な人が多いです。彼らの投稿を基に他の受験生がどんな勉強をしているのか知ることも大事です。

まとめ

私が論文式試験に合格するためにしたことは以上の通りです。これだけですが十分に合格基準点を超えることができました。振り返ると、知識が必要以上に増えると余計なことを書きがちになるのでこれぐらいの知識量が最も合格しやすいのかと思います。

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