高専生のための後悔しない就職活動戦略

就職・転職活動

高専生の就職活動は大学生に比べると容易と言われることも多く、一人当たり十数社から求人が来るとも言われています。そのため、学校任せのなりゆきで就職活動をしてもなんとかなるとも言えます。しかし、そのような就職活動をすると入社後に想像していた仕事やキャリアとのギャップに直面して後悔することになります。ここでは、私が高専から就職した経験をもとに高専生の就職活動についてパターン分けして解説します。

大手企業(総合職採用)

高専生を総合職として採用する大手企業もある

高専に来ている求人の中にも総合職枠(大学・大学院卒と同じ括り)の求人は存在します。例えば、募集要項で大学・大学院・高専卒という括りで募集している企業がこれに該当します。私が高専で就職活動をしていた当時、大手鉄鋼メーカー等がそのような採用をしていました。ちなみに、この大手鉄鋼メーカーの求人に成績順位一桁台の優秀な同級生が応募して最終的に内定していました。

選考はハードだが挑戦し甲斐がある

総合職採用においては学校推薦や高専生への優遇はなく、国公立または有名私立大学の学生との競争になります。さらに、専門科目の筆記試験があったり面接も3次面接に渡るなど選考もハードです。しかし、企業からみれば、育成コストが高く、将来、会社の中核を担う総合職の候補を選ぶわけですから選考がハードなのも当然のことです。しかし、このような選考を経て入社できれば、将来、仕事の幅を広げたり、より高度な仕事に挑戦できるチャンスが多く巡ってくると思います。ただし、全国転勤もあり得ます。

落ちたときのリスクヘッジが必要

しかしながら、選考が厳しいので落ちるリスクは高まります。落ちた後に残った求人を探しても、魅力的な求人が残っていないこともあり得ます。前述した大手鉄鋼メーカーの総合職採用に内定した同級生は、落ちた時に備えて専攻科を受験して合格していました。このように、リスクに対する対策をしっかりと準備しておくことが必要です。

大手企業(高専卒採用・事業所採用)

高専からなら入りやすい

高専に来ている求人をみると高専卒採用の求人が多く来ているかと思います。例えば、電力会社の高専卒枠の求人でしたり、「○○株式会社△△事業所」のような大手企業の事業所(工場)からの求人などがそれに該当します。私もこのパターンで高専から大手造船メーカーに入社しました。

このような求人は、学校推薦で応募すると高い確率で内定できると思います。それは、高専と企業との長年の付き合いでしたり、企業が積極的に高専生を採用したいと考えているからだと思います。また、面接回数も1~2回と少なく前述した総合職採用と比べると選考もそこまでハードではありません。

入社後に置かれた状況に悩むことも

しかし、このような求人は企業からみると「大学工学部卒レベルの技術知識を有していながら、安い給料かつ一定の役職以下に留めることができてコスパがよい」という考えで高専生を採用しようする意図も見えてきます。あるいは、高専卒を大学卒よりも明らかに下の階層に区分している場合もあります。

したがって、このような求人から企業に入社すると、大学・大学院卒と待遇やキャリアパスが明確に区別されており、大学・大学院卒と高専・高卒とで入社式や新入社員研修も別々という状況に直面する可能性が高くなります。

多くの高専生は、中学時代はそこそこ成績がよく、高専で5年間、厳しいレポートや定期テストを乗り越えながら高度な専門科目を勉強してきたと思います。その経験と入社後に自身が置かれている状況とのギャップに悩むことになりかねません。私もこのような状況に悩んでしまい、最終的に会社を辞めて大学編入することにしました。

とはいえ、高専からの就職で手堅い選択ではある

一方で、県を跨ぐ異動は基本的になく地元に残れたり、総合職と比較して長時間働いたり重い責任を負わなくてもよいというメリットもあります。また、大手企業のネームバリューを比較的容易に手に入れられるのも魅力で高専からの就職で最も多い選択かと思います。高専卒採用ついてはこれらのことを総合的に考えて後悔しないように選ぶとよいと思います。

専門職系(航空整備士、プログラマーなど)

専門職として働くなら高専から就職するのもあり

私は、高専での就職活動の当初、航空整備士を目指して航空会社の整備子会社の選考を受けていました。航空整備士やプログラマーのように専門職(職人)として現場で手や体を動かすような働き方がしたいのであれば、大学に進学するよりも高専卒で就職して若いうちから手に職をつけていくという選択肢もあり得ます。

将来仕事の幅を広げるなら総合職採用での就職が近道

航空整備士を例に挙げると、将来的に整備スケジュールを立てたり、物品を手配したり、現場の職人を取りまとめるような仕事へ進みたいのであれば、大学に進学して親会社の航空会社に総合職として入社することが近道だと思います。そのため、本当に定年まで専門職として現場で働きたいのかよく考える必要があります。

高専からの専門職系への道は簡単ではない

「航空整備士の場合は航空専門学校」といったように専門職にはそれに対応した専門学校が存在する場合があります。そのため、選考においては、既に資格や経験を身に着けている専門学校の学生との競争になるので高専生でも就職活動は簡単なものではありません(私も航空整備会社への就職は叶いませんでした)。

また、高専で学んだ技術の基礎知識は役立つかもしれませんが、高専で学んだ知識を活かしきることができない職業(どちらかといえば工業高校や専門学校で学んだ技能や資格を活かす職業)なので、私個人としては高専生にはあまりお勧めできません。

中小企業・地元企業

活躍の場が多く、地元に残ることができる

私は高専4年生のときに地元の中規模メーカーに2週間インターンシップに行きましたが、中小企業は人材不足気味で大手企業と比較して個人の裁量が大きいので、高専で学んだ技術や実習経験を活かして活躍できると思います。また、拠点が一つのケースが多いので地元に残ることができるのもメリットです。

給与、福利厚生の水準は低め

しかし、大手企業のように福利厚生(住宅手当等)が充実していなかったり、給料も低い水準に留まります。私も大手企業から中規模の特許事務所に転職したときに住宅手当がなくなったり収入が下がり生活が苦しくなりました。

特別な目的(やりたいこと)や事情がない限り、給与や福利厚生、ネームバリュー(履歴書に拍が付く)の点から先ずは大手企業(高専卒採用)を目指す方がよいと思います。

まとめ

高専からの就職について、

  • 大手企業(総合職採用)
  • 大手企業(高専卒採用・事業所採用)
  • 専門職系(航空整備士、プログラマーなど)
  • 中小企業・地元企業

に分けて、私の考えを述べました。私の考えとしては、大手企業で総合職として出世したいのであれば、大学編入からの総合職入社が手堅いと思います。しかし、大学進学できない事情があるなら高専から直接大手企業(総合職)を目指すことも不可能ではありません。また、私のように大手企業(大手企業(高専卒採用・事業所採用)からお金を貯めて大学編入して大手企業(総合職採用)で入社するというレアケースもあります。

地元に残りたいのであれば、大手企業(高専卒採用・事業所採用)で先ずは働いてみることがよいと思います。手堅い選択ですが、お金を貯めて社会人経験を積んでから本当にやりたいことにチャレンジすることも可能です。

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