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「船が好き!」という理由で造船業界への就職を考えているけど、造船業は斜陽産業というイメージがあって不安に感じられている方もいるかと思います。
この記事では、重工メーカー2社で働いた私の経験を基に、造船業界の現状と将来性、働き方についての一般的事項と私の忌憚のない意見を述べていきたいと思います。
この記事が、造船業界への就職を考えている方の参考になればと思います。
造船業界はやばい!?造船業界の現状と今後について解説
造船業界の特性として、以下のような原因から好況と不況の波が激しいことが特徴です。この特徴は企業経営にとって望ましくなく、造船業界が就職先として敬遠される一因となっています。
- 受注産業であり、景気変動の影響を強く受ける
- 好況時と不況時で船の発注数が大きく変動する
- 生産リードタイムが長く、市場の変化に対応しにくい
- 設備維持コストが高く、不況時の負担が大きい

日本の造船業界の現状
日本の造船業界は、かつて世界トップクラスの競争力を誇っていましたが、現在は韓国や中国の台頭により厳しい状況が続いています。特に近年は、大手同士の提携や、事業譲渡、撤退といったニュースが続いており再編が加速している印象です。

これらな要因としては以下が挙げられます。
コスト競争の激化
韓国・中国の造船業は政府の強力な支援を受けており、大量生産と低コスト化を武器に市場を席巻しています。日本は高品質な船を作る技術力があるものの、コスト競争では苦戦しています。また、LNG船など船種によっては、日本と同等以上の技術力を持ち、建造実績を積み重ねている状況です。
需要の変化
環境規制の強化により、省エネ船やゼロエミッション船の開発が求められています。日本の造船業もこの分野での競争力を高めようとしていますが、海外勢との競争は激化しています。
人材不足
造船業は、人間の労働力への依存度が高い労働集約型産業の側面が強く、高齢化や若手の流入不足が課題となっています。技術の継承やDX化による効率化が求められています。
造船業界の将来性
造船業界の将来のために、例えば以下のような取り組みが行われていますが、自動車など他業界と比較すると出遅れている印象は否めず。海外より大きく先行しているとも言い難い状況です。
高付加価値船の開発
日本は、環境対応などの技術力を活かした高付加価値船にシフトしつつあります。今後、脱炭素化に向けた新技術(アンモニア燃料船や水素燃料船など)の開発が進めば、日本企業の競争力は維持できる可能性があります。

DXと自動化の推進
造船プロセスのデジタル化、AIを活用した設計最適化、ロボットによる建造の効率化が進めば、生産性の向上が期待されます。

政府支援の強化
日本政府も造船業の国際競争力を維持するため、支援策を講じています。例えば、国内造船所への補助金や、研究開発支援が行われています。
造船業界についてもっと知るために
造船業界に興味があって船や造船について知りたい方は以下の本を読んでみるとよいと思います。一般の人でも楽しく読める内容ですし、造船業界で就職活動する上での基本的な知識を身に着けることができます。
以下の本は造船会社での研修でも使われる名著です。その名の通り引合から解船まで造船所での仕事の全体像を知ることができます。一般向けの本よりも一歩踏み込んだ内容を知りたい方におすすめです。
造船業界への就職はどう考えるべきか?
私自身、船が好きなので造船業界をおすすめしたいのですが、下記のような理由から多くの人にすすめることは難しいです。
安定や年収を求めるなら慎重に
造船業界は、景気の影響を受けやすく好況・不況の波が激しいため、それによって企業の経営が左右されます。大手造船会社であっても、不況となれば人員削減や統廃合のリスクがあります。
実際に私が勤めていた造船会社でも造船事業撤退をきっかけに、かつての同期や同僚の多くが転職を余儀なくされていました。

また、激しいコスト競争にも晒されているため、他の製造業と比較して年収も低い傾向にあります。
しかしながら、造船会社はその地方でそこそこ大きな会社であるため、ある程度は安定していて寮や社宅など福利厚生も充実しています。そこそこ大きな会社を選べば安定とそれなりの年収を得ることができます。

技術開発の伸びしろはまだまだある
造船DX、スマートシップ、環境対応の分野では成長が期待されており、技術者とっては新たな挑戦の場が用意されています。しかし、他の業界と比較して大きな伸びが期待できるとは言えないのが現状です。
造船業界の働き方
私は、造船業界で実際に働いたり様々な造船所を見てきましたが造船業界の働き方としては以下のような特徴があります。
造船所は地方の海沿いに多い
造船所を建てるには海の近くの広大な敷地が必要なので、造船所は地方の海沿いに多いです。
忌憚なく言えば僻地と呼ばれる田舎にありますので、都会のきれいなオフィスで働きたい人には間違いなく向いていません。田舎暮らしを楽しめる人でないと厳しいです。マリンレジャーを楽しみたい人にはおすすめです。

事務所や寮が古く汚いことが多い
多くの造船所は歴史が長く、お金が不足していることもあってか事務所や寮が古く汚い場合が多いです。
地方かつ人手不足の業界なのでせめて働く環境をしっかり整備することが課題だと思います。
最近は人手不足に対応するためおしゃれできれいな事務所を整えた造船所もあるなど明るいニュースもあります。

昭和の雰囲気が色濃く残る
造船業界は職人が多く集まるので、男性がほとんどで、昭和や体育会系の雰囲気色濃く残っています。飲み会や付き合いも多めです。チームでの大きなものを造る達成感もあるので、そこに魅力を感じる人には向いていると思います。

造船業界への就職についてまとめ
将来性があって高収入で都会のおしゃれなオフィスで働きたいと思う人が多い中、造船業界はその対極に位置しており、一般的には魅力的な業界とは言い難いです。
ですが、それでもチームで大きな船を造り上げて海へ送り出す感動は都会のオフィスでは決して味わうことができないものです。
造船業界としては、働く環境や待遇を整備して優秀な人材が多く集まる魅力的な風土にしていくことが大きな課題だと思います。
造船業界への就職も含めた就職活動の進め方を解説しています。
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