記事内に商品プロモーションを含む場合があります。
高専や大学を卒業すると多くの人はメーカーを始めとした企業で働くことになると思います。組織に属して働くことは安心感やチームでの目標達成などやりがいがある一方で、調整業務や人間関係のわずらわしさを感じたり、個人として社会から認められにくい(社内でしか通用しない)といった悩みをもつ人も多いと思います。
私もそういった悩みがあり、最終的には特許事務所の弁理士を目指しました。本記事では、私が検討した博士号、技術士、弁理士という3つの選択肢に焦点を当て、それぞれの概要、メリット、デメリットを解説します。
博士号を取得して働く
博士号(Ph.D.)は、特定の分野での高度な研究能力を証明する学位です。博士課程での研究を通じて得られる専門知識やスキルは、独立した働き方の基盤となります。特に、アカデミックな分野や高度な技術開発が求められる仕事で大いに活用できます。
博士号取得のメリット
- 専門性の高さ:専門的な知識を活かして、コンサルタントや研究者として独立した働き方が可能。
- 信頼性:博士号を持つことでクライアントや企業からの信頼を得やすい。
- グローバルな活躍:国際的な研究プロジェクトや教育機関での活動が可能。
博士号取得のデメリット
- 取得までの時間と費用:博士号を取得するには数年の時間と多大な労力が必要。
- 実務経験の不足:博士課程に専念するあまり、実務経験が不足することがある。
- 専門性の偏り:特定の分野に特化しすぎて、柔軟性が欠ける場合も。
博士号のまとめ
私が働いていたメーカーは大学と共同研究をしており、社内に社会人ドクター制度がありました。私も共同研究の一部に関わりましたが、社会人ドクター制度の対象となる研究分野ではなかったため、業務として研究をして博士号を取得できる可能性は極めて小さく、他の手段を考える必要がありました。
働きながら博士号を取得することに興味がある方は下記の書籍を一読してみることをお勧めします。
技術士として働く
技術士は、日本で唯一の国家資格で認定された技術コンサルタントです。技術士法に基づき、さまざまな分野での技術的な指導やアドバイスを行います。独立して働く技術士は、プロジェクトや事業の技術的なサポートを提供することが主な業務です。
技術士のメリット
- 幅広い分野で活躍:建築、IT、エネルギーなど多岐にわたる分野で活躍できる。
- 法的な認知:国家資格として法的に認められているため、クライアントからの信頼度が高い。
- 資格取得の難易度:博士号取得よりは資格取得のハードルが低い
技術士のデメリット
- 資格取得の難易度:博士号取得よりはハードルが低いとはいえ、二次試験の受験には実務経験及び実務経験についての会社からの証明が求められ、試験のハードルが高い。
- 知名度の課題:他の士業と比較して一般の認知度が低い。
- 業務独占資格ではない:弁護士や弁理士のように「資格者でなければ資格に係る業務を行えない」というものではないので、他の士業系の資格と比較すると独占排他性が低い。
- 長い実務経験が必要:業務独占資格ではないため、その技術分野の権威と呼ばれるレベルの実務経験が重要で2、30代の人が活躍することが難しい。
技術士のまとめ
私は、博士号取得のハードルが高いことから、次に技術士について検討してみました。今回のテーマである「技術者が組織に縛られず働く」ことについて、下記の書籍が参考になるので一読してみることをおすすめします。この書籍では技術士資格の取得について勧められており、実際に私も技術士第一次試験を受験して合格しました。しかし、二次試験のハードルが高いことや上記デメリットもあることから、弁理士資格の取得に取り組むことにしました。
弁理士として働く
弁理士は、特許、商標、意匠などの知的財産権に関する手続きを代理する資格です。特に、特許出願や知財戦略の立案を通じて、企業や発明者を支援します。弁理士として独立することで、自分のクライアントを持って働くことが可能です。
弁理士のメリット
- 高い収入可能性:知的財産権は企業にとって重要な資産であり、高単価の業務を請け負える。
- 需要の安定:特許権取得や商標登録といった需要は景気や業界に左右されにくい。
- 専門性:法律と技術の知識を融合した独自性を活かせる。業務独占資格であるため、独占排他性も高く、若くして活躍できるチャンスがある。
弁理士のデメリット
- 資格取得の難易度:試験の難易度が非常に高い。
- 競争の激しさ:需要が安定しているため、特に都市部では競合他者が多く、何らかの差別化が必要。
弁理士のまとめ
私は、試験自体の難易度は高いものの、社内政治やコネクション、経済力が必要な博士号や実務経験が求められる技術士と比較して、資格取得について自分でコントロールできない要素が少ない点や、業務独占独占資格であるため若いうちから活躍できる点、どんな技術分野であっても必要とされる需要の高さから、弁理士資格取得に注力することにしました。
全体のまとめ
私は組織に縛られずに働きたかったので、特許事務所に転職して弁理士になりました。しかし、上司と合わずに2年半で特許事務所を退職し、現在は企業の知財部という組織に属して働いています。組織に縛られずに働くことはデメリットも多いことや組織に属して働くことの魅力も再認識する経験となりました。
コメント