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大学や高専で初めて直面する就職活動。説明会に自己分析、履歴書、面接とやることが盛りだくさんで戸惑いがあると思います。
さらに、大学と高専とでは就職活動において共通していることも多いですが、異なるところもあります。
この記事では、私の高専での就職活動と、大学(院)での就職活動の両方の経験に基づいて大学・高専での就職活動の進め方やポイントについて紹介します。
インターンシップ、企業説明会で敵を知る
インターンシップは必ず参加
就職活動は大学3年生(大学院修士1年生、高専4年生)の夏前から始まっています。この時期になると学校経由や企業の採用サイトでインターンシップの募集が始まるので必ずチェックして参加しましょう。
インターンシップは約2週間程企業で就業体験をして企業や職種に関する理解を深める絶好の機会です。

また、参加希望の企業に志望理由書などを提出しなければならないので、就職活動に向けた訓練にもなります。
企業説明会には積極的に参加
大学3年生(大学院修士1年生、高専4年生)の年明けから、企業は採用に向けて動き出し、学校や会場で企業説明会が開かれ始めます。
企業説明会のあとには社員との懇親会があることもあるので積極的に参加したいところです。タダで飲み食いできますし参加して損をすることはないです。
就職活動は情報戦なので、情報収集にお金や労力を惜しまないようにしましょう。
大学と高専との違い
大学では企業説明会の機会、インターンシップ先の選択肢が多い
大学の場合、企業側から企業説明に来てくれる機会が多く、説明会後に懇親会が開かれることも多いです。そのため、積極的に説明会に出席していれば、大学に居ながらにして情報を収集することができます。
私の体験上、国立大学工学部では、大学経由で応募するインターンシップの募集が有名企業から多く来ており、インターンシップ先の選択肢は多い印象です。大学経由で応募すれば高い確率でインターンシップに参加できると思います。
高専では企業説明会の機会、インターンシップ先の選択肢が少ない
高専の場合、大学に比べると企業側から企業説明に来てくれる機会はあまりありません。企業見学会、卒業生講話といった機会自体はあるものの十分ではありません。
そのため、高専卒社員から実際に話をする機会が少なく、曖昧なイメージ(企業の知名度や有名製品)に基づいて企業選びをして入社後にミスマッチを感じるといったリスクがあります。
したがって、高専外で行われている説明会に参加するなど、高専の外に出て積極的に情報収集する必要があります。
私の体験上、高専経由で応募するインターンシップの募集は地元企業が多い印象です。選択肢を増やしたい場合は、企業HPや就活サイト経由でインターンシップに応募するとよいと思います。エントリーシート作成など、就活の練習にもなると思います。
自己分析で己を知る
インターンシップや説明会で情報収集をしましたら次は自己分析です。
自己分析と書くと大げさですが、例えば、以下のような観点でこれまでの自分を振り返ってみるとよいです。
- 子どもの頃から好きだったもの、なぜ好きだったのか
- 自分がこれまで勉強してきたことや研究内容
- やりがいを感じたり、うれしかったこと
- これまでの選択(学校や部活、研究室選び)でどのような軸で選択してきたか
- 自分の考え方に影響を与えた体験や成長できた体験
挙げればきりがないですが、なぜなぜを繰り返してみたり、紙に書き出すなどして自分のこれまでの体験や考え方を棚卸ししていきます。

これをしっかりしていると業界、企業の絞り込みのみならずエントリーシートや面接でも役立ちます。
業界や企業の絞り込み
企業説明会などで得た情報と自己分析でまとめた考えを突き合わせて志望する業界や企業を絞り込んでいきます。しかしながら、そこまで難しく考える必要はなく、下記のような感じでよいと思います。
- 船を見学して感動した。大学でも船に関する研究をした。しかも、ものづくりが好きなので造船業界。
- 雪国で育ち、雪かきを便利にする建設機械に興味を持った。大学でも構造の研究をしているのでそれを活かしたいの建設機械業界。
大学と高専との違い
大学生の場合は、業界や企業を選べばよい
大学生の場合は基本的には総合職採用一択なので、前述の情報収集に基づいて行きたい業界、企業を選べばよいと思います。
工学部の場合はメーカーが多数派で、他には電力、鉄道等のインフラ系も多いです。しかし、中には、パイロット(航空会社自社養成)や大手海運、官公庁といったところに就職する人もいるなど選択肢は自由です。
あとは、折角新卒カードを使うので給与水準の高い業界の大手企業を選んでおくことをおすすめします。
社員教育や福利厚生といったサポートの手厚さ、給与の高さから長く働くことに適していますし、他の目標を見つけて転職したいときも大手企業で働いているというブランド力を活かすことができます。
大手企業から中小やベンチャーへの転職は容易ですが、その逆はかなり困難です。
高専生の場合は、採用区分も考慮する必要がある
高専生の場合、大卒と高卒の中間という微妙な立ち位置であるため、業界、企業を選ぶだけではなく、採用区分も考えて選択する必要があります。
高専卒を大卒と同じく本社採用(総合職採用)扱いするのか、高卒と同じく事業所採用(一般、現業職採用)扱いとするのかが企業によって異なるのでそれも考慮する必要があります。詳細は下記の記事で解説しています。
高専生のための後悔しない就職活動戦略
また、高専生の場合、就職活動を学校任せにしていると、高専に来ている求人票の中から1社選んで学校推薦で受けるという形になってしまうので、選択肢が高専に求人票を出している企業に限定されてしまいます。
また、高専は就職率の高さを売りにしているので、就職担当の先生任せにすると、乱暴に言えば「就職率を下げないために学生をどこでもいいから放り込む」という扱いをされ不本意な結果になってしまいます。
高専や就職担当の先生はそれなりにサポートをしてくれて有用ではありますが、「自分の進路は自分で責任を持って決める」という気持ちを持って、自分で情報収集して自由応募で様々な企業を受けてみるといった活動をしていくことが必要だと思います。
応募書類の準備
応募書類は、主に履歴書とエントリーシートになると思います。ここでは、特に重要な志望動機と自己PRについて簡単に紹介します。

志望動機は研究テーマと関連付けると書きやすい
志望動機の書き方としましては、
- 自分の過去の取り組みや現在取り組んでいることから課題や実現したいことをはっきりさせる
- その企業であれば、課題を達成したり実現したいことが実現できることを論理的に説明する
といった流れで書くとよいと思います。自分が取り組んでいることとして挙げる内容としては、研究テーマのような自分にしか語ることができない内容がよいです。さらに、志望企業のインターンシップに参加した体験があればなおよいです。
研究テーマと志望企業の業種が乖離しているときは、代わりに他にもプロジェクト系科目でのものづくりの体験など自分が実際に手や体を動かして主体的に取り組んだことをベースにするとよいと思います。
逆に、「~という授業で~分野に興味を持った」という受動的な体験に基づく内容は他の学生でも語れるのでインパクトはやや弱めです。
また、企業について記載するときは、ホームページに書いてあることを書いても印象に残らないので、説明会や工場見学のように自分の目で直接見たり社員の声を直接聞いた体験に基づいて記載した方がインパクトがあります。
このように、志望動機を書く上で、企業説明会やインターンシップへの参加が重要になってくるので積極的に参加すべきです。
自己PRはプロジェクト系科目での経験に基づくと書きやすい
自己PRの書き方としましては、
- 私の強みは~である(まずは結論)。その理由としては、
- チームでの活動では~という役割を担当して、その中で~のような工夫をした
- その結果、~という結果を出すことができた
- 以上のことから~という強みがある(まとめ)
という流れで書くとよいと思います。根拠となる体験については、強くアピールできる順に以下のようなものが挙げられます。
ものづくり系のサークル活動
例えば、「ロボコン」、「人力飛行機(鳥人間コンテスト)」、「学生フォーミュラ」が挙げられます。大学からの予算取得、調達、設計、製作、試験、プレゼンといった企業での業務に近い経験ができるので、企業に対するアピール力が特に強いです。また、参加している学生も少ないのでオリジナリティも高いです。
プロジェクト系科目でのものづくり
ものづくり系のサークルに参加している学生はそこまで多くないので、多くの学生は、チームでものづくり(例えば、ロボット、機械など)をするプロジェクト系科目での体験をアピールするとよいと思います。ものづくり系のサークルに比べるとアピール力は弱いですが、企業でのプロジェクトの一部を体験できるので十分にアピールできると思います。カリキュラムは学校や学科毎に異なるのでオリジナリティもそこそこあります。
高専や大学の先生もプロジェクト系科目でのものづくり体験をアピールすることを勧めていることが多いです。
その他サークル活動、アルバイト
メーカーでのものづくりから内容がかけ離れている上に、学部学科に関わらず多くの学生が経験していることなのでオリジナリティが弱いです。特筆すべき成果(例えば、運動部でキャプテンをしてチームを優勝に導いた、メディアに取り上げられるレベルでその世界で有名であるなど)がない限り上記2つより優先度は低いです。
筆記試験(SPI)対策
現在の日本の就活ではSPI(適正検査)は避けては通れません。高専、大学、転職においてもそれは同じです。SPIを作っている会社がこのような慣習を作ってビジネスを展開していることに複雑な気持ちはありますが、こうなってしまった以上、上手く利用していくしかありません。
SPIは所詮ペーパーテストなので対策をすればスコアは上がります。SPIのスコアによって足切りはあり得るのである程度のスコアは必要ですが、理工系の学生であれば参考書を1冊用意してしっかりやり込めば必要十分なスコアは取れると思います。過度にやりすぎてその他の対策が疎かになっては本末転倒なので参考書を2、3周するくらいに留めておきましょう。

私は高専、大学院、転職と何度かSPIを受けましたが、参考書はわかりやすさや再現性の高さからSPIノートの会の本一択です。
面接対策
面接ではエントリーシートや履歴書をベースに進んでいくので、エントリーシートや履歴書に書いてあることを自分の言葉でスラスラと話せるように訓練する必要があります。
それには、場数をこなすことが一番です。学生同士での練習や先生との練習には積極的に参加しておきましょう。他人に面接を見られるのは恥ずかしいですが、将来のためになりふり構わずやりたいところです。また、自由応募で積極的に選考を受けて実戦経験も積んでおきましょう。

最後に重要なことは「面接は面接官との対話」なので、「聞かれていることに誠実に答える」という姿勢で臨みましょう。面接官を置き去りにして丸暗記したことをロボットみたいにしゃべるのはNGです。
まとめ
以上、高専、大学院、転職と様々な立場で企業の選考を受けた経験を基に就職活動のポイントをまとめました。高専生の場合は大学生と比べて特に最初の情報収集の面で不利であるため、積極的に高専の外に出て情報を取りにいくことが大事だと思います。
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